2025/10/09 21:33

近年、異常気象という言葉をよく耳にします。
夏の大雨、突然の豪風、長引く高温。
こうした自然の変化は、私たち農家にとって、日々の仕事のあり方を大きく変えています。

◆ 大雨が運ぶ“土”と“責任”

先日の大雨では、畑の水が一気に流れ込み、U字溝(排水路)に土が詰まってしまいました。
水の逃げ場がなくなり、道路に泥水があふれ、近隣の方々にご迷惑をおかけしてしまいました。

もちろん、自然の力には逆らえません。
それでも「農家の責任」として、私たちは泥をかき出し、排水路を掃除します。
畑で作物を育てるだけでなく、周囲の環境を守るのも、農業の大切な仕事のひとつです。

◆ お金にはならないけれど、欠かせない仕事

草刈り、溝の掃除、土砂の片付け…。
これらの作業は、収入にはなりません。
けれど、やらなければ畑は荒れ、害虫や病気が広がり、地域にも迷惑がかかります。

農家にとって「お金にならない仕事」ほど、実は地域を支えているものかもしれません。
そして、それを誰かがやらなければ、風景も、安全も、失われていくのです。

◆ 畑を守ることは、暮らしを守ること

農家の仕事は、単に野菜や果物を作ることではありません。
畑を通じて、地域の景観を守り、雨水の流れを整え、次の世代へと“安心して暮らせる環境”を引き継ぐことでもあります。

私たちが草を刈る音や、U字溝を掃除する姿を見かけたら、
「農家さん、今日もがんばってるな」と思っていただけたら嬉しいです。

◆ そして、これからの食卓の話

スーパーに並んでいる野菜が「高い」と感じる方も多いかもしれません。
確かに、価格だけを見ればそう感じるのも無理はありません。
ですが、その裏では、異常気象への対応、資材の高騰、そしてこうした“お金にならない作業”が増え続けています。

農家にとって、今は「続けること」そのものが難しくなってきています。
辛く、大変で、儲からない──
だからこそ、少しずつ農家がいなくなってきているのです。

気づいたときには、「高い」どころではなく、
“手に入らない”未来が待っているかもしれません。

◆ 最近、スーパーで“異変”を感じませんか?

野菜の品ぞろえが減っている。
国産の果物が少なくなっている。
産地の表示が、見慣れない地域になっている──。

それは、ただの季節のせいではなく、
日本の農家が減り続けている現実の表れかもしれません。

◆ 消費者のみなさんへ

スーパーで並ぶ野菜や果物の裏には、
こうした見えない仕事や苦労があります。

一つひとつの農産物には、
「自然と向き合い、地域を守る」人たちの思いが詰まっています。

どうか、そんな農家の努力も一緒に感じて、
食卓の「ありがとう」を増やしていただけたら嬉しいです。

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