2026/09/20 22:29
みかん畑には、いろいろな虫がやってきます。
その中に、ちょっと芸術家のような虫がいます。
通称、「エカキムシ」。
正式な名前はミカンハモグリガです。
エカキムシは、みかんの柔らかい葉っぱに入り込み、葉っぱの中を進みながら食べていきます。
その跡が白っぽいクネクネとした線になって残るので、まるで葉っぱに絵を描いたように見えます。
畑で新しく出てきた葉っぱを見ていると、
「またエカキムシに描かれているな」
という葉っぱによく出会います。
ところが、今回は葉っぱではありません
エカキムシが好むのは、基本的には柔らかい新芽や若い葉っぱです。
ところが、たまにみかんの果実にも食害の跡を残すことがあります。
今回見つけたのが、そんなみかんです。
「葉っぱだけじゃなく、みかんにも描くのか」
そんなことを思いながら眺めてしまいます。
みかんの表面には、クネクネと曲がった独特の跡。
普段、葉っぱで見慣れているものに似ていますが、それがみかんの実にあると、ずいぶん違って見えます。
農家にとっては困った食害なのですが、じっくり見るとなかなか不思議な模様です。
虫が通った道のようにも見えますし、地図のようにも見えます。
一つとして同じ模様はありません。
かわいい名前ですが、苗木には困った虫です
「エカキムシ」という名前だけ聞くと、なんだかかわいらしい虫のように感じます。
でも、みかん農家にとってはなかなか困った虫です。
特に気をつけたいのが、植えたばかりの苗木です。
苗木は、まず枝を伸ばし、葉っぱを増やして、木そのものを大きくしていかなければなりません。
ところがエカキムシは、そんな時に出てくる柔らかい新しい葉っぱが大好きです。
せっかく新しい芽が伸びてきても、エカキムシに入られると、葉っぱにクネクネとした跡ができ、ひどいものは縮れたり形が悪くなったりします。
大きな木なら、多少葉っぱを食べられても、木全体にはたくさんの葉があります。
でも、小さな苗木はそうはいきません。
これから木を大きくするための大切な葉っぱを食べられてしまうので、その後の苗木の成長にも響いてきます。
農家としては、数年後にしっかりみかんを実らせてくれる木に育てるためにも、苗木の時期は特にエカキムシの被害に気をつけています。
また、エカキムシが葉っぱに残した傷は、かいよう病との関係でも注意が必要です。
「エカキムシ」というちょっと面白い名前とは裏腹に、みかんの木を育てる私たちにとっては、油断できない存在なのです。
きれいなみかんばかりではありません
普段、お店で見かけるみかんは、きれいなものが多いと思います。
でも、実際のみかん畑を見てみると、すべてのみかんが何事もなくきれいに育つわけではありません。
虫に食べられることもあります。
風で枝や葉っぱにこすられることもあります。
強い日差しで日焼けすることもあります。
そして今回のように、エカキムシに模様を描かれてしまうみかんもあります。
みかんは畑で何か月もの間、雨や風、暑さや寒さ、そしていろいろな虫たちと付き合いながら育っていきます。
毎日みかんを見ている私たちにとっては当たり前の光景ですが、こうして一つ一つ見てみると、
きれいなみかんを作るというのも、なかなか大変なことです。
今回のエカキムシが描いたみかんも、そんな畑の日常のひとつです。
農家としては、
「絵を描くなら、できればみかん以外のところで」
と言いたいところですが、こんなみかんができるのも、自然の中で育てているからこそ。
みかん畑では、人間の知らないところでも、いろいろな生き物が活動しています。
またちょっと変わったみかんを見つけたら、ご紹介したいと思います。

